鹿男あをによし

鹿男あをによしのあらすじ

9月、「おれ」はひょんなことから大学の教授に勧められ、2学期の間限定で奈良の女子高の教師になる。しかし、生徒にからかわれたり、無視されたりとコミュニケーションが取れず、途方に暮れる。
そうして迎えた10月。「おれ」の前に鹿が現れ、人間の言葉で話しかけてきたのだ。その鹿とは1800年前から人間を守りつづけてきた存在で、60年に1度行われる「鎮めの儀式」で用いる目を運ぶ役(「運び番」)に「おれ」を任命する。
目は人間界で「サンカク」と呼ばれ、狐の「使い番」を任せられた女性から渡されると話す鹿であったが、「おれ」は「使い番」に気づかず、挙句に違うものを渡された。鹿は「目を鼠に奪われた」と言い、わけが分からない「おれ」に印をつけ、「おれ」の顔を鹿にしてしまう。そして鹿は「目を取り戻さないと日本が滅びる」と警告するのであった。そして、同じころ、東では火山性微動が続き、富士山が噴火する兆候にあった。
一方、勤務する高校では年に一度のスポーツイベントである姉妹校との交流戦「大和杯(やまとはい)」が行われようとしていた。そして「おれ」はその優勝プレートが「サンカク」と呼ばれていることを聞く。剣道部の顧問になった「おれ」は、そのプレートこそ、鹿が言っていた目であると考え、人類を危機から救うために目を取り戻そうと優勝を目指すのだが。
原作の「おれ」は本名が判らない。テレビドラマでは玉木宏が主演の連続テレビドラマとして放送が開始される。綾瀬はるかとは3度目の共演となるようだ。また、柴本幸は民放の連続ドラマ初出演である。キャッチコピーは「神は使いに、鹿を選んだ」。


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鎮めの儀式と大和杯

鎮めの儀式とは、地中には大鯰がいて、時々大暴れをして災害を起こすという言い伝えがある。卑弥呼(ヒメミコ)に仕えていたという奈良の鹿、京都の狐、大阪の鼠は卑弥呼の死後、1800年に渡って目の力を使い、大鯰が暴れるのを封印していたと言うのだ。
彼らは60年に一度、神無月になると、「運び番役」と「使い番役」の人間を介して、目を神の目が届かない場所に遷し、また自らも目の力を手に入れて鯰の動きを鎮めるという。この儀式は満月の夜に行われなければならず、満月以外の場合では目の力が衰え、封印に時間がかかるという。そして、神無月に儀式が行えなかった場合、この国は滅びることになるという。
大和杯とは、奈良、京都、大阪の女学館三校にて行われるスポーツイベントで、学校創立の60年前から続いていて、毎回オリンピック並みの盛り上がりをみせている。元は剣道部のみの交流戦であったのだが、現在はバドミントンなど他のスポーツも行われているようだ。
しかし、この名残で剣道部は優勝カップではなく、鹿、狐、鼠があしらわれたプレートが使われ、形状から「サンカク」と呼ばれているそうな。大会は各校持ち回りで、開催校は各大会のルールの選択が自由にできるという。これまで剣道は京都の独壇場で、過去59回すべてで優勝をしている一方、「おれ」が顧問を勤める奈良は、部員が3人しかいない弱小チームなのである。これまでは剣道の経験がない教師が他の部活と顧問を掛け持ちしていたそうな。
原作では名前のない「おれ」なのだが、テレビドラマでは「小川孝信」に設定されている。このほかにも原作で名前のない人物にも名前がつけられていて、「綾瀬の持つ天真爛漫な魅力が藤原君に通じる」と感じたプロデューサーの意向により、歴史教師の「藤原君」の性別を男性から女性に変更されている。

鎮めの儀式を行うのは鹿・狐・鼠

鹿・・見た目は雌鹿なのだが、実は百回以上も魂を他の鹿に移し変えて生き続けており、命を受けたときは立派な牡になっていた。屈強な牡鹿を従えていて、目の力を使って、人間と話すことができるほか、人間が言うことを聞くように印をつけ、顔を鹿にする術を持っているという。人間社会を嫌っている一方で、ポッキーが大好物なのだそうだ。卑弥呼の時代は何が好物だったのだろう。鼠とは仲が悪いらしい。ちなみに、奈良の鹿がお辞儀をするのは彼が教えたからであるという。
鼠・・鹿同様に卑弥呼の命を受け儀式を行っているのだが、目の受け渡しを妨害するなどしばしば悪戯をしてくるようだ。約300年前には「使い番」をなかなか決めなかったために満月の夜に儀式が行えず、人間世界が大変なことになったという。どうやら宝永の大噴火がその時だったらしい。
ほかには狐も加わって儀式をおこなうのだが、狐は動物園の中にいて、自らの「使い番」以外には話し掛けないという。このため、本編には登場させて貰っていない。
原作の作者は万城目学(まきめ まなぶ)言い、化学繊維会社勤務を経て、2005年に『鴨川ホルモー』で第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞してデビュー。同書は「本の雑誌」などの書評誌で絶賛され、「2007年本屋大賞」では6位になるなど注目された。続く第2作『鹿男あをによし』は第137回直木三十五賞候補となる。
テレビドラマ化されたとはいえ、ストーリーのおもしろさは原作を読んで楽しむことをお勧めしたい一作である。

世界の映画賞